リメイク商法はわりと見えにくいリスクを孕んでいるという話 

 なんかこんな話題が。

 ■【コーエー商法】PS2用ソフト真・三國無双5 Specialを9月に発売。新武将、新ステージを多数追加!

 でもこれは、別にコーエーに限ったことではありません(というか、大げさに書かれているけど、そのナンバリングにおけるリメイクはせいぜい3作程度で、あとはプラットフォーム移植だし。まあ最近の無双は似たような感じとかそういうのは置いておくとして)。
 最近ネット上では○○商法という名前で、リメイク作品(もしくは同製品の付属セット変更)の売り方で批判が集中することがあります。たしかに、「なんだかなあ……」とは思うところはあります。ただしこれ、全面的にはそういう売り方をするメーカーを否定できないとは思うのですね。それは、メーカー側もリスクをきちんと背負っているので。
 そう書くと、「ほとんど同じようなものを売って何がリスクだ!」と仰る方も多いかもしれません。でも、そのリスクは見えやすい直近の制作費と売り上げ、つまりユーザーからは焼き直しであまり費用がかからず、そして売り上げを得ているようなところとは違った面でリスクを背負っていると思うのです。それをちょっと列挙してみました。

★評判が落ちる
 現状では、このような売り方はユーザーにとってあまりよい印象を与えるものではないのは、上のリンク先を見ても明らかです。つまりは、このように会社、ブランド評判を落とし、これからのユーザー数をも減らしてしまう可能性を潜在的に秘めているでしょう。


★既存ユーザーからの離脱者を出す可能性
 リメイクで新しいユーザーが入ってくる可能性はあります。そして同時に、既存のファンがもう一度買う可能性もあります。しかし当然買わないユーザー、そしてその製品のファンから抜けるユーザーも出てくるでしょう。
 熱心なファンには「フルコンプ欲」というのがあると考えます。すなわち、ファンなら全部集めるというもの。ただしそれは諸刃の剣であり、金銭的事情や限定版など収集の限界的事情からフルコンプについてゆけないと思った場合、一切の収集をやめられてしまう、つまりそのゲームのファンから離脱するという可能性も多々あると考えます。

 ■参考:コレクションものにおける限定品という諸刃の剣

 もし、抜けたユーザーが入ってくるユーザーより多くなった時、そのゲームは縮小に向かうでしょう。 一度獲得したファンは、絶対に離れない(離れにくい)というのは、コンテンツが少なかった時代の幻想だと思います。


★コンテンツ力を摩耗させる可能性がある
 これは続編でも言えることですが、安易にキャラを使いすぎることで、目新しさをなくしてしまう可能性があるということ。
 たしかにそれが盛り上がっているうちに製品を投入すれば、さらにユーザー層が広がる可能性もあります。しかし、娯楽の多くはそのうち「飽き」がきます。それは何回も目にかけている分、余計に。つまりは、リメイクをすることで、その製品の飽きを早く到来させている可能性はないかということ。
 まあ、やがてくる飽きならば、早めに製品を突っ込んで回収しておこうという考えもありますが(というか、今のリメイク濫発の原因はそれのような気がします)。


★新作を生み出す力が弱くなる
 これはそちらの会社内の問題ですが、あまりリメイクや続編を出しすぎていると、全く別の新作を生み出す力が弱くなる可能性があります。それは、社内的なノウハウがすべてそこに注がれてしまうために、新しいものを生み出す力が弱くなり、もし今までリメイクを重ねていたもののブームを過ぎても、
対応できなくなると。
 また、リメイクはたしかに知名度のある分売れますが、社内の評価体制が整っていない場合、そのリメイクばかり社内で注目され、結果新作の意欲がなくなるなんて例もあるみたいですね。

 ■参考:ゲーム制作では成果に対して報酬以外のもので応えなくてはいけないという話

 まあそれを凌駕し、リメイクと新作両方を作れる規模があり、評価制度も整っている会社ならばよいのですが、そんなところってどのくらいあるのかな?


★その製品(だけ)のメーカーというイメージが強くなる
 上とやや関連がありますが、そのリメイク作を作り続けることで、ユーザーに「○○の会社」と認識されます。それはそれでいいのですが、もし上のようにそのゲームの力が弱くなり、新作を出そうとした時に、そのイメージから抜けきれず、その弱くなったゲームのイメージまで引きずってしまう可能性があるかもしれません。スーパーファミコン時代、エニックスのソフトがドラクエ以外は売り上げがそれほどでもなかったのは、ドラクエが強すぎたから、という話があります(クインテット三部作とか、かなり隠れた名作が多いのですけどね)。これはエニックスSFC最終作の『スターオーシャン』まで続いたような気がします。あと、カプコンがストIIの大ブームから、2D格闘以外の注目が薄くなってしまった例もあるでしょうか。まあ、それを吹き飛ばす新作(この場合は『バイオハザード』)とかがあれば解決しますが、そう簡単ではないでしょう。


★次の作品でも、似たようなことをやられるのではないかと警戒される
 これはつまり、新しいゲームが出たとします。しかしそこでブームになると、またこの会社は同じようにリメイクの連続がなされるのではないかという警戒心が働いて、そういった売方が嫌いな人にとっては、最初から手をつけないほうがいいやと、第一作目をやってももらえなくなるという感じ。


 このように、リメイクは濡れ手で粟ではなく、長期的に見るとそれなりのリスクはあると思うのですよね。実際、リメイク商法の売り上げを調べてみれば、よほど大きい変更(すなわちリメイクではなくて続編など)ではない限り、どんどん右肩下がりになってきていると思います。
 故にメーカーは、リメイク品を出すときはこのようなリスクを踏まえて、あえて出していると考えます。もし考えておらず、ユーザーを金の鉱脈だと考えるなら、その鉱脈は知らず知らずのうちに枯れていることになるでしょう。

 ただ、開発費高騰にともなって、回収が難しくなってきている昨今、多少のリメイクは認めてもいいような気がします。特に、続編ではない、オリジナルの第一作目って知名度がない分、良作でも売り上げが低いことが多々あるのですよね。そういうのが採算をとって、次の新作につなげるのだったら、最低限のリメイクは許容してもいいかと(それこそケースバイケースですが)。でもそれによって本編が欠けているような作りだったらダメでしょうが(グランツーリスモ新作の車やコース課金みたいに))、まあもっとやりたい人が拡張的に遊べるようなものなら。


 最終的には「自分が必要な、いると思ったものだけ買う」という姿勢でいいのではないでしょうか。ほしい人はそれで喜んでいると思うし、見捨てるときは見捨てるでしょうから、そのへんは各ユーザーの判断力を信じていいと思います。多くの人が馬鹿みたいにつられる、というのは錯覚だとも思うので。
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[ 2008/07/06 21:10 ] コラム | TB(1) | CM(8)
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