ドット絵の衰退と復興、そしてこれから 

 さて、前回(ゲームにおいてポリゴンが主流となるまで)の続きになります。
 
 ちなみに、今回よく出てくる「ドット」という単語は、画面で表示されている単位的な「ドット」ではなく、どっちかというと「ドットで描かれた絵」的なニュアンスで受け取っていただければ幸いです。


 ドット絵はそれこそゲーム黎明期から存在し、ハードによる進化を重ねながら、それこそスーファミ時代まではゲームにおける画面表現の主流でした。というよりは、当時はハードのスペック的に、これ以上のことをするのは多くの場合不可能だったからとも言えるでしょう。(中にはシルフィードのような例外もありますけどね)

 しかし、そのドットの制約の中で、ソフト開発者は様々な工夫をしてきました。例えばこの時代のスクウェア作品なんかは、かなり見せ方も工夫されていましたね。特に雰囲気に合わせた色の使い方では、すごい領域に達していたと思います。
 あとああいう精密系ではなくとも、マリオ3みたいに世界観に合わせて明るく演出したりとか(しかもファミコンで)いろいろありましたね。
 他にも『スペースハリヤー』なんかの3Dが神業になってたり、『ナイトストライカー』の夜演出がすごかったり等々、語ればきりがありませんね。

 ついでにここでドットの動画をひとつ。このブログでは何度も出てくるスーパーファミコンのソフト『天地創造』より。

 ゲーム中のスクロールも美しいですが、地上復興シーンは特に見ものです。(ただドット絵ってよりも、ドットで出来るムービーって感じで、現在ではムービーでもっと綺麗なのを出来るかもしれませんが、それでもこの手のかかっているドット技が好きです)


 しかし、この後の次世代機、すなわりプレステやサターンでは、前のエントリーで書いたようにポリゴンが主流となり、ドットはだんだんと影を潜めてゆきます。
 この当時、たしかに「ドットは古い技術」という風潮があったように思えます。

 しかし、私は当時から何故かポリゴンよりドット絵が好きだったので、ドット絵はポリゴンになる前の過去の技術みたいな考え方に懐疑的でした。それはポリゴンの映像がどんどん綺麗になり、PS2時代に移っても同じ考えでした。

 当時思っていたのは「ポリゴンは『写真』、ドットは『絵』」という考え方でした。
 つまり、写実的なもの、例えばFFのCGムービーみたいなのを作るのにはポリゴンの方がドットよりも向いています。しかしドットは写真のようなことは出来なくても、綺麗な絵を描くことは出来ます。そしてポリゴンでは出せない雰囲気を醸し出すことも出来るんじゃないかと思っていたのです。
 一流の写真家の撮った写真と、一流の画家の描いた絵で、どちらが芸術として優秀か、と比較するのは不可能で、それぞれが分野は違えど素晴らしいものだと思います。
 よって、ドットはポリゴンの下に来るものではなく、それぞれ別々の素晴らしい技術だと思いました。(まあ今となってはポリゴンでも表現方法が色々出てきて必ずしも写実的になる必要はなくなったので、ちょっとニュアンスが変わるかもしれませんが、基本的に「どっちも同じく素晴らしい技術」という考えは変わりません)


 ただ、ドットが使われなくなっていったのは、前に書いた理由、すなわちドット絵自体が昔の技術のように見られてしまう傾向があったという他にもう一つ、開発側の実務的な都合もあったように思えます。

 実は、ドットを使った技術というのは意外と手間のかかるものなので、RPGの1キャラで例を取れば、ドット絵というのはイラストですから、あるシーンで前を向いている状態から左、後ろ、右と1回転させる必要があるとき、少なくとも絵が4枚は必要になるのです。さらに回転に不自然さを持たせないようにアニメーションをさせるためには、中間の絵までもが必要になるので、滑らかにしようと思えば思うほど絵が必要になります。
 しかしながらポリゴンの場合はキャラを3Dとして作ってしまうので、出来た後に回転させたい場合もすでに全方位の形が出来ているので、命令一つでどこでも、それこそ頭の上でも下からの絵も出すことが出来ます。
 故に、開発工程を縮めることも出来る上、イレギュラな視点にも対応できるポリゴンというものが重宝されたのでしょう。

 ただ、ゲームアーツの『グランディア』などは、背景はポリゴンで作られているのですが、キャラクターはあえてドット絵を何パターンも使うことでキャラクターの温かみを出した、とどこかで読んだ気がします。(まあ残念ながらシリーズの2以降は、キャラもポリゴンになってしまいましたが)


 さて、一時期は衰退の一途を辿っていたドットでしたが、ある時期に転換点を迎えます。それは据え置き機ではなく携帯機で。

 1996年、ポケットモンスターが発売されると大ブームとなり、一時期は死にかけていたゲームボーイ市場が復活します。そして、ポケモン、その他ゲームののヒットに引っ張られるという形で、ゲームボーイカラー、ゲームボーイアドバンスと、携帯市場がだんだん大きくなってきました。
 しかし、そのころの携帯機はまだポリゴンをスムーズに描写するにはパワー不足だったので、ドット絵でのゲーム制作に再び脚光が当たりました。

 しかし、ドット絵を描く人たちはその需要に対してかなり少なくなっており(数年間、ドットを描くために新しく技術を学んだ人があまりいなかったのもあるのですが)、ドット絵を描ける人の相場がかなり高くなったという話もあります。

 ちなみに、ちょっと絵の詳しい方に聴いたことがあるのですが、ドット絵はただ絵が描けるだけではいい絵を作るのは難しく、やはりそれ専門のセンスが必要ということです。(特に陰影の色と配置が難しいのだとか)


 しかし、最近の携帯機ではPSPにせよDSにせよ、一応のポリゴンは出せるまでスペックが上がりました、それではまた、ドット絵は衰退してゆくのでしょうか?
 しかし私はたしかに昔のようなドットだけという使われ方はなくなってくるとは思いますが、全体がなくなるとは思いません。
 今はポリゴン絶対主義みたいなものはあまりないように思われますし、おそらく効果的な部分ではドットを使い、ポリゴンが必要な部分ではポリゴンと、棲み分けがきちんと出来るようになるのではないでしょうか。(なんかゲームムービーの時と同じこと書いているような気がしますね)

 ま、個人的にはスーファミ時代のようなドットだけで描かれた職人技も多く見てみたい気もします。


 う〜ん、ちょっとドットへの想いを上手く完全消化できなかったかなあ……これについては思いついたらもうちょっと書くかもしれません。


__________________


 最後にちょっと追記。
 何故個人的にドット回顧の傾向があるのか、ちょうど思い当たる文章がありました。(情報元:ふぇいばりっとでいずさん)

 ■前途酔う酔う(まだ限界だなんて認めちゃいないささん)
  http://d.hatena.ne.jp/capelito/20070315/1173945681
 
 たしかに。私は乗り物とかでもほとんど酔わない人だったのですが(子供の頃の青函連絡船で少し気持ち悪くなったくらい)、最近のゲームによっては、画面を凝視していられなくなることがありますね。風邪ひいている時とかは特に。
 まあ、切替スイッチがあるとぐるぐる回すのが好きなのですが。
 これにより、スーファミ時代は何時間でも出来たRPGが、最近では一定時間しかできないってのも、ポリゴンよりドットのほうが愛着がある理由の一つかも。(まあ2D3D問わず、昔のドットゲームは動きがあまり速くなかったというのもあるのですが)

 もしかしたらこの3D酔い問題、ポリゴンゲームが解決しなくてはいけない潜在的な問題になるかもしれません。それこそロードよりも見えない分、非常に解決が難しそうです。


  
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[ 2007/03/19 14:55 ] コラム | TB(0) | CM(15)
はじめまして

パチンココムと言います。
私のギャンブルサイトで
こちらの記事を紹介させて頂きました

紹介記事は
http://blog.livedoor.jp/kabucom117/archives/53282354.html
です。
[ 2007/03/19 15:07 ] [ 編集 ]
確かに、僕はゼルダが好きだったので、3D酔いは克服しましたが、友達は3D酔いのせいで、ゼルダ系はできないと言ってました。ゲーム離れの一因は十分にあると思います。
それと、リアルすぎる映像は想像力を喚起しないためか、ドットで描かれた世界よりも、風景どきどきしなくなりました。それは関係ないかもしれないけれど…。
ただ、リアルに近づけば近づくほど、嘘っぽく感じてしまうのは、個人的には確かなんですが…。

 個人的には、アルバートオデッセイのドットグラフィックには感動した覚えがあります。要はセンスですね。
[ 2007/03/19 22:14 ] [ 編集 ]
>パチンココムさん
はじめまして。
紹介どうもです。
ただ、こっちのブログでパチンコはまず扱わないと思いますが(汗)


>ジャックかぼちゃさん
こんにちは。
ちなみに私はゼルダでは大丈夫でした。
>リアルすぎる映像は想像力を喚起しない
それはありますね。
昔に比べて想像の入り込む余地がなくなってきたせいか、ごまかしが利かなくなった部分も多々あるでしょう。
昔の感動したストーリーを今のゲームにリメイクしても、昔ほどの感動は得られないということがあるのは、そういったことも一因かもしれません。
[ 2007/03/19 23:00 ] [ 編集 ]
トラックバック、また言及いただきありがとうございます。
ポリゴンが悪というわけではありませんが、ポリゴンが酔いの一端を背負っていますね。
ドット絵は不滅だと思います。それこそ「枯れた技術の水平思考」ですもんね。
[ 2007/03/20 00:37 ] [ 編集 ]
>capelitoさん
こんにちは。
こちらこそ引用させていただきありがとうございます。

しかし本当に最近はぐるぐる回って、酔いやすそうですよね。
しかも、画面も大きく、リアルになってきましたから余計ですね。それはそれで楽しいのですけど、あまり長時間やると酔いはせずとも疲れますね。

メーカーの方も、こういう点から平面的な見せ方を見直して欲しいです。
[ 2007/03/20 02:35 ] [ 編集 ]
こん○○は。

「ポリゴンとドット絵」ですが、「写真と絵画」というたとえが非常にうまくて、感じ入りました。ツボです。
これ、「実写とアニメ」の関係に似ているとも言えるかもしれないですね。
きっとそれぞれ、適した表現の題材があるということでしょう。
[ 2007/03/20 04:45 ] [ 編集 ]
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20070312/drc.htm

悪魔城シリーズは2Dゲーの最後の砦
[ 2007/03/21 01:49 ] [ 編集 ]
ポリゴン万能の時代でも
ドット絵は必要不可欠ですよ
VRAMが少ないPS2では桁違いにコストの掛かるドット絵がテクスチャに利用されてます
FFXのテクスチャあたりの色数を調べてみればよろしいでしょう

こういった切り口も面白いかと
[ 2007/03/21 03:16 ] [ 編集 ]
>kitaro.sさん
こんにちは。
>、「写真と絵画」というたとえが非常にうまくて、感じ入りました。
ありがとうございます。
>これ、「実写とアニメ」の関係に似ているとも言えるかもしれないですね
そうですね。アニメは昔よりも価値が認められてきてますからね。
ちなみにこのブログ的に言えば、ゲーム音源(FMとかPCM)と、今の音色の多いゲーム音楽にも同じことが言えるかもしれません。


>かすぺさん
こんにちは。
たしかにドラキュラシリーズが3Dになっても、魅力が増すわけではないので、今までの路線で確実にいいものを作って欲しいと思います。


>とおりすがるさん
こんにちは。
なるほど、こういう形で潜在的に使われていたのですね。
これからPS3等ハードが変わっても、やはり使われていくでしょうね。
[ 2007/03/21 04:10 ] [ 編集 ]
現在はスパロボと
日本一ソフトウェアあたりが
ドット絵最後の砦でしょうか
[ 2007/03/21 23:16 ] [ 編集 ]
旧SNKのメタスラなんてかなり職人芸ですよね。
RPGのゲーム買うのも3Dより2Dが多いです。
なんか愛着がわくんですよねドットは・・
[ 2007/03/22 01:35 ] [ 編集 ]
>名無しさん
こんにちは。
スパロボは、仮にポリゴンにしたらファンに怒られそうな気もしますね。
あと、『ディスガイア』に見られるような日本一ソフトウェアのドットもかなりすごいですね。あのパターンの多さには感動します。
それだからこそ、キャラの細かい表情とかもよく出てましたよね。


>2D好きさん
こんにちは。
そういえばメタスラもありましたね。
あの無駄に(褒め言葉)ドットパターンが多すぎる動きは、なんか操作感まで柔らかくなったように思わせてくれます。
[ 2007/03/22 01:46 ] [ 編集 ]
自分もドットから3Dに変わったときに『ん?』と思いました。
FF6のデモがおーっと思う内容だったしFF7が
ポリゴンで作られたと知ったときもSugeeeeeと思ったたちですが、
アクションに関してはホント違和感がありましたね。

3Dアクション!とは言うものの操作性が2Dに比べて改悪された物ばかり
アクションってのは爽快感とかお手軽感を求めて何度もやってた自分にとっては
視点ぐるぐる回して精密性のないアクションってのはどうもしっくりこなかったです。
3Dで本当に「進化した」といえるのは無双シリーズとマリオ64くらいじゃないかな。
FFもなんかあらぬ方向に向かっちゃったし悪魔城PSもおかしくなってたし
ゼルダはある意味進化したかもしれないけど殆ど別のゲームだし。
PSでガンナーズヘブンとか正当派2Dアクションが出てた時期が懐かしいです。
[ 2007/03/22 02:44 ] [ 編集 ]
テクスチャも大変ですよ
[ 2007/03/23 01:34 ] [ 編集 ]
>Dさん
こんにちは
おそらく、PS時代には今までドットで積み上げてきた技術をふりだしに戻したので、当時は何もないに近かったのではと思います。で、それ故に改悪されてしまったものも出てきたと。

しかし、3Dを研究しつくした上に出たのがマリオ64であり、真三國無双
なのではないでしょうか。
FFはRPGというシステム自体があまり変えられないものなのでしょうが、ゲーム操作的には2Dも3Dもほとんど変わっていない気がしますね(ものによりますが)


>asdさん
こんにちは。
たしかに昔は1色塗りか、単純なグローシェーディングだけだったものが、近年では単なるスペックの向上だけではなくて、現代のテクスチャの「見せ方」(塗り方)は、細かいとことで工夫されているものがかなり増えてきてますよね。
こちらの技術も数年が経ち、ドットとは別のルートで成熟してきたのかも、と思います。
最近の例だと、アイドルマスターには見せ方的にもかなり驚きました。とうとうああいう感覚まで出せるようになったんですね。
[ 2007/03/23 03:05 ] [ 編集 ]
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