ゲームは賞に向いていないかもという話 

 先日、東京ゲームショウが行われました。そこでは毎年『日本ゲーム大賞』なるものをやっているのをご存じの方も多いでしょう。
 しかし、こんなエントリーが。

 ■日本ゲーム大賞の「フューチャー部門」の選考過程が気持ち悪い
  http://n-styles.com/main/archives/2007/09/24-073000.php

 日本ゲーム大賞、及びそのフューチャー賞の問題点などは上のエントリーを見ていただいた方がわかりやすいのでここでは割愛します。
 じゃあそれらの問題点がなくなれば公正なゲームの賞が出来るのかというと、どうもそうは思えないんですよね。そもそも、『ゲームというものは、こういった賞を制定するのには向かないのではないか』とも思えてきました。


 さて、「賞」のある娯楽として思いつくのは小説、映画、音楽あたりが主でしょうか。あとクローズドな感じはしますが、マンガにもありますね(小学館漫画賞、講談社漫画賞など)。それらの中にも新人賞、読者投票、関係者選考などがありますが、一番メジャーなのは関係者選考でしょう(その前段階に読者推薦投票が入ることもありますが)。小説で言うところの芥川賞、直木賞、映画で言うところのアカデミーやカンヌみたいなものですね。
 しかし、これら小説、映画、音楽とゲームでは、その審査において大きく違うところがあります。それはゲームの場合、「選考する人が同じように同じ時間、同じゲームをプレイしていないこと」です。
 音楽の場合、その曲が判断するためには、まずそれを聴かなければお話になりません。そしてその対象(たとえばその年に出たCDとか)もなるべく全部聴くことを要求されます。映画も同じです。映画の批評家はその年に出た映画を全部見るくらいの勢いだと聞きますし、少なくとも対象作(○○映画祭出典とか)は絶対全部見るでしょう。
 小説の場合は、さすがにその年の全部、というわけにはいかないでしょうが、それでも対象作を全部読むことは必須でしょう。
 ちなみに漫画のほうはちょっとだけ問題を抱えているのですが(これはそのうち「空気を読まない中杜カズサ」で書きます)、それでもそこまでの対象作を読まないことはまずないと思います。

 しかし、ゲームですが、その年に出たゲームを全てクリアまでプレイしている人は、はたして日本に何人いるのでしょうか?それだけではなく、リンク先の例で言えば、フューチャー賞は286作品から選考委員による受賞作選考で受賞11作品に絞られるらしいですが、その286作品をクリアまで全部やった方は、選考委員のうちに一人でもいらっしゃるのでしょうか。

 別に選考委員の方がゲームをしていないことを責めているのではありません。実際、ほかに仕事を持っている人ならば、その286作品をクリアすることはほぼ不可能です。いや、選考期間内ならば、1回プレイすること自体難しいかもしれません。
 ゲームというのはそういうものなのです。音楽ならば1曲数分、映画ならば2時間程度、小説でも読む速さによって違いますが、文庫本1冊程度なら数時間〜数日あれば読めるでしょう。 しかし映画や音楽とは違い、1日にいくつもこなせるものではないのです。
 というわけで、こういったプレイ時間、すなわち選考時間がかかって前夫プレイできない以上、映画や小説の賞と同列の方法でゲームの賞を置くというのは、事実上不可能ではないか、と思うのです。

 現在の選考方法は、おそらく売り上げや広報、もしくはプレイヤーの圧倒的な支持(初代『ガンパレードマーチ』みたいなもの)で一定基準をつけて足きりを行っていると推測されます。しかし、この方法だと面白いけど目立たなかったゲームというのは、賞どころか注目さえされないでしょう。しかしこれだと、それが売り上げの上下ではなくて面白さの上下を基準としているものであれば、賞としての存在意義に反しているのではないでしょうか。

 ですので、ゲームの賞をそれでも制定したいのであれば、また独自の選考方法が必要なのではないかと思います。少なくとも審査する人には最終候補作の数作くらいはプレイしてもらいたいですね。じゃないと、大メーカーと中小メーカーの差がついている昨今、「賞がメーカーの力関係だけで決まっている」なんていうレッテルがついてしまいそうですから。


  
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[ 2007/09/26 22:49 ] コラム | TB(0) | CM(5)
ゲーム大賞で唯一信用しているのは、ベストセールス賞だけですが、これも本当に信用していいものかどうか…。本年の大賞はWiiSportsのみなら納得したものですが、モンハンP2の受賞は、前年に大賞を受賞しなかった罪滅ぼし(?)の感があって、嫌な感じでした。そもそも、賞をもらっても、権威がなく、受賞作が再度売れることがない=流通と販売元が儲からない賞なんて、誰も喜びません。ユーザーの評価は、ネットや口コミで片がついているものばかりですし。○○Mk2で高得点を取っているものの方が、まだ信用できます(比較して、という話で)。
[ 2007/09/26 23:26 ] [ 編集 ]
>nagtosさん
こんにちは。

まあ、『日本ゲーム大賞』に関して言えば、リンク先のN-Stylesさんにもありますが、もともとはCESA大賞で、任天堂がそれにかかわっていないってのもありますからね。

次回作に続くっていう意味では、作品ではなくて開発したスタッフを表彰するってしたほうがいいかもしれません。
まあ目立たない賞になるのと、引き抜き合戦が始まりそうですが。
[ 2007/09/27 01:06 ] [ 編集 ]
私の書いた記事やGAMEWATCHでも書かれているようにフューチャー部門は「映像出展を含む発表・展示された未発売の作品」です。
選考委員は286作品をクリア出来ないのは当然ながら、プレイすら出来ないものが多数含まれています。

CESAの資料を見ると、選考委員にはゲームクリエイターが含まれます。具体的な名前は書かれていませんが…。
ライバル関係にある会社から選考のためにデモソフトの貸し出しがあるというのは考えにくいので、選考委員が1本もプレイしていない可能性も十分にあると思います。

はっきり言って茶番ですよ、これ。
[ 2007/09/27 23:06 ] [ 編集 ]
誰かに選考される賞なんて基本的にほとんど全部茶番です。
ゲームに限った話じゃありません。


映画やTVの賞だって怪しい受賞なんて数限りなくある。
今更ゲームを殊更に取り上げる事もないです。

ゲームの賞で妥当性を語ったら一番マトモなのはPlayStation Awards(他社で同様のがあればそれも)

基準は売上本数。
これですら本数の計測基準が厳密に発表されていないと怪しいと言えますけどね。
[ 2007/09/28 14:18 ] [ 編集 ]
>あれっくすさん
こんにちは。
エントリー引用させていただきました。ありがとうございます。
さて、「映像出典を含む」という部分は見逃してました。……ゲームってプレイするものだよね?と思ってしまいます。

やっぱり、映画におけるアカデミー賞とかみたいに、権威のあるものにするつもりは全くないのかなあ……まあそうなると、どのメーカーにも属さない中立な存在が必要そうですが、雑誌とかも広告で成り立ってしまっている業界では、その方法ってのはないのですかねえ……

ちなみに比較して一番信用できたのは「レトロゲーム大賞」かも。


>めさん
こんにちは。
まあそれを言い出したらノーベル賞まで茶番になってしまうので(まあそういう面はありますけどね)。

でも売り上げを指標にすると、今度はゲームの出来より広報力が強いメーカーがダントツ有利という状況を巻き起こしてしまうので難しいところです。小さなメーカーの隠れてしまいそうな名作でも、売れる仕組みがあればいいんですけどね。
[ 2007/10/01 21:06 ] [ 編集 ]
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