ゲームミュージックなブログ

ゲームミュージックを中心に、ゲーム系のことについていろいろ語っています。

必要性と反比例するデバッグの価値、そしてその危険性 

 ちょいと話題というか騒ぎというか。

 ■「バグはPSP本体の仕様です」 PSP版「海腹川背」、バグだらけのまま強行販売か…ネットで騒動に。一部で不買運動も
  http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1105519.html

 話題となっているゲームはスーファミの名作アクション『海腹川背』から連なるシリーズのPSP版。初代はスーファミなのにラバーの動きを再現した素晴らしいものとして、根強いファンを集め、PSで続編も作られました(今回はそのPS版の移植)。それ故に、期待していたファンの失望も大きかったものと思われます。(追記:コメントでご指摘を受けたので部分修正しました)
 これは私の勘ですが、おそらくリンク先のようなキャラの動きでバグが起きるということは、根本プログラムがそれなんで、もう修正不可能(そこを直したら全体がプログラム的にもゲームバランス敵にも狂う可能性が高い)な状態なので、このまま出さざるを得なかったのではないでしょうか。あと、この前『ゲーム制作と決算の非常に微妙な関係〜年度末のソフト発売ラッシュに思うこと』で書きましたが、今は3月末で決算前の企業はどんなことをしても売り上げを立てないといけないという事情もあるかもしれません。
 でも、今不買運動とかになっても、発注終わっているだろうし一番迷惑するのは小売店なんですよね……

 これ、この前書かなかったですけどこういうことがあると、『3月発売=クソ・バブゲー』が定着しないかっていう心配です。今年も3月に出るけどいいソフトってのはちゃんとあるのに。


 でも、最近こういったバグ騒ぎってのが多くなってきている気がします。でもこれはある意味においては自然かもしれません。
 というのは、現在のゲームは10年前に比べて確実にいろいろな面が進化しています。しかしそれは別の面から見ると、バグの出る要素をその進化に比例して増やしているとも言えるのです。バグの要素にはいろいろなものがありますが、プログラムだけとってみても、1万ステップのプログラムと2万ステップのプログラムだとバグの要素は倍になります(実際はそう単純ではなく、それより増えることもあります)。

 ちなみにプログラマが書いた時点でバグのないソースというとは絶対にない、と言われています(逆に開発工程では、全くバグがないと、チェックに問題があると思われます)。それはプログラムを打ったのが人間である以上、間違いは絶対に生じるので仕方ないことです。しかしそれを消すために、デバッグをするわけです。そしてそれを完璧にこなしたものが、問題のない製品として世に出るわけです。

 つまり本来ならその開発工程の拡大に比例して、チェック行程も大きくしなければならないはず。しかし、それが出来ているか、というと甚だ疑問です。それどころかどうも人件費の高騰対策で、こういったテストプレイ部分が削られているのではないかと思えもします。それはどうしてもこういった裏方の部分は見えないからでしょう。丁寧にチェックしてバグを消しても、その発注自体に影響を与えないのですから。

 そもそもゲームに限らずこういったプログラミング製品というのはどこまでが仕様として保障されているかという客観的な基準がないのですよね。確かにプレイできなければ問題でしょう。でも、プレイできればつまらなかろうが、機能が足りなかろうが「仕様」で言い切れてしまうのですよね。ですので、ハードメーカーチェックを通らないようなものでなければ、ゲームに支障をきたしていても時間や費用がかかるような修正なら通してしまうという感じ。そしてこれはプログラマの責任というより、開発工程の無茶による影響が強いと考えます。

 この前、ゲームの評価についての話をしましたが(『大人数評価サイトの抱えるジレンマ』)、こういったバグがないっていうのも評価に加えるべきかも、と思う時があります。そうすれば真面目にバグ取りをやっている良心的な(ある意味当たり前の)メーカーが損をしないわけですし。
 本来ならバグがないのがあたりまえだったので、そういったものまで評価に加えないと悲しいと思う方も多いでしょう。でも、ゲームがこれだけ複雑になっていて、そういった面を軽視するところも現れている昨今、そういった見えない面に気を遣っているか、気を遣っていないかも判断する必要があるのではないでしょうか。
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[ 2008/03/21 21:53 ] コラム | TB(1) | CM(7)
耐震偽装みたいに、最初からちゃんと作る気が無いんじゃないかと邪推してしまいます。
[ 2008/03/22 00:57 ] [ 編集 ]
今回の場合は、開発がX−BOX版カルドセプトで前科のある「ロケットスタジオ」だったから更に騒動が拡大した気も……。
一度ならともかく、二度目の壊滅的なバグですし。

ここから先は推測と私見ですが、安値で受けてくれるからといってそういう問題のある会社を切れない辺りが、ゲーム業界の台所事情の厳しさを象徴しているのかもしれません。
[ 2008/03/22 23:13 ] [ 編集 ]
>そもそもゲームに限らずこういったプログラミング製品というのはどこまでが仕様として保障されているかという客観的な基準がないのですよね

あります。パッケージ製品の仕様書は見たことがありませんが、たとえば企業内で使うシステムのいわゆる SIer とか SE とかいうひとたちが活躍する場や、国に納入する製品を作る場合は仕様書は必須です。

デバッグのためにリソース( 人間とか時間とか )を使えないのは、たぶんデバッグ工程に行く前の段階で時間を使いすぎて納期に間に合わなくなってしまってるんじゃなかろうかと想像します。以下のような流れです。

1. 開発に時間を使いすぎた
2. でも納期は決まっている
3. じゃあデバッグの時間を減らす

もしくは、設計段階ですでにとんでもなく酷い設計になってて中杜カズサさんが言うように取り返しがつかないような出来上がりなのかもしれません。
[ 2008/03/23 23:29 ] [ 編集 ]
細かい事ですが、PS版「海腹川背・旬」はSFC版の移植ではなく続編で、ステージ構成などが違います。
今回のPSP版は、PS版の移植です。

>スーファミの名作アクション『海腹川背』のPSP移植版。
>根強いファンを集め、PSにも移植されました。
という表現は適切ではありません。
[ 2008/03/24 09:14 ] [ 編集 ]
ゲーム業界の開発体制はIT業界のようにシステマチックに(IT業界が必ずしもキッチリしてるってわけでもないが)やるのは難しいのでは。たぶん端から諦められてると思う。大手と零細じゃ全然違うだろうとは思うけれども。
[ 2008/03/25 16:30 ] [ 編集 ]
そもそも仕様を書く仕事というものが軽視されすぎです。

画面構成、内部データ、サウンド発注リストなど膨大な仕事量があるのに仕様作成にとられる期間はほぼ0のことが多いです。
プログラマ、グラフィッカと同時に動き出してまともな仕様になるわけがない。

また、それ自体が完全な独立した仕事なのに、ディレクションと平行させようとするのが問題でしょう。
そして仕様書のフォーマットが会社ごと、個人ごとどころか、プロジェクトごとにバラバラ。最悪、同一プロジェクト内の同一人物が起こした仕様ですら統一性がなされません。

仕様を軽視する経営者側の責任は重いと思います。
そして妄想ばかりで仕様作成能力のないプランナーにも辟易します。
[ 2008/03/29 02:36 ] [ 編集 ]
>マッドサンダーさん
こんにちは。
>ちゃんと作る気が無い
そんなわけはない……と言えないのが悲しいところです。

>真砂さん
こんにちは。
結局製品の質より台所事情というのもあるのでしょうね。あと、どこかで言われていましたが、移植だからと発注元が簡単に考えすぎたのかもしれません。移植だって、ハード移したらほとんど新規と同じなのに。

>みわさん
こんにちは。
仕様書はたしかに大切ですね。ただ、それを守ったかユーザーにわかるしくみが欲しいところです。猿楽町に期待があったのですが、カルドせプトサーガでやっちゃった感じが若干ありますね。
あと、困ったことに仕様書のほとんどない開発というのがたまに(よく?)あったり……。

>まーさん
こんにちは。
ご指摘ありがとうございます。
あとで修正しておきます。

>NO NAME さん
こんにちは。
たしかにきちんとシステム開発工程を経るのは難しいでしょうが、逆にやらないで崩れるケースも多々あるので、やってほしいところですね。

>NO NAME さん
こんにちは。
私も仕様書のない現場というのをいくつか見たことがあります。でも、だいたい開発末期に何らかの混乱が生じるのですよね。(でも店に配る概要書はちゃんとある)
あと、クライアントと制作者で言った、言わないの喧嘩になる可能性も高いので、絶対に必要だと思います。(ああ、胃が痛い思い出が……)
一番はこの状況が当たり前になっている業界に、問題はあるのですけどね。
[ 2008/04/03 01:48 ] [ 編集 ]
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