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ゲーム制作では成果に対して報酬以外のもので応えなくてはいけないという話 

 さて、以下のようなエントリーがありました。

 ■ナムコの成果主義、有能なゲーム開発者が報われない開発現場(情報元:ふぇいばりっとでいずさん)

 リンク先でも言われていますが、これ、結構前から話題になってますね。

 ■参考:ゲーム系企業における成果主義の是非

 簡単に説明すると、
ゲーム業界でも成果主義導入

 →大作は売れるけど、意欲作は評価は高くても大作よりは売れない
 →大作に所属していたメンバーばかりが給与が上がり、意欲作に所属していたメンバーは下がる
 →それによって、みんなが大作のチームに行きたがる、もしくは大作を作るチームになりたがる。それに所属できないメンバーは意欲が下がり、退社してゆく。
 →結果、出来たのは大作の続編ばかりで、意欲作が消滅。新しいものを生み出す土壌が失われてしまった


 ……という感じ。

 つか、問題はこれが起きたことではなくて、数年前から言われていたのに(合併した)今でもこの状態が続いていたとしたら、そのほうがまずいのでは? ということですが、さすがにそのへんは改善されていることを祈りたいです。


 しかし、成果主義の失敗というのはあちこちでも言われていますが、それは風土(業務の体質)に合ってないものを無理矢理不完全な形のまま持ち込んだからというのが主たる原因と思います。そしてそれはゲーム業界の場合も。

 さて、これについて昔、どこから聞いたかは忘れたのですが(もしかしたらどっかで読んだ話かも)、とあるゲーム業界の人からこの業界に成果主義を導入するとしたら、どうすればいいかという話を聞いたことがあります。その人曰く、「たとえとあるゲーム制作チームが結果を出したとしても、その成果に金銭で応えてはいけない」ということ。理由は上の通りになってしまうから。つまりゲームが売れる、売れないというのは、現在のゲーム業界において、その単体の出来だけではもう比較できないのですよね。たとえば良作と呼ばれるゲームでも、駄作、地雷と呼ばれるゲームより売り上げが低い場合があります。そういう場合前者はだいたいオリジナルの1作目、そして後者はシリーズもので名前が知れ渡っているもの、もしくは大作だったりする場合がよくあります。つまり、ゲームはネームバリューで売れてしまうところがあるので、売り上げでは出来を比較することは出来ないと。それを他の業界と同じように売り上げを成果として比較するから(まあ他に明確な指標がないのもあるのですが)、ちぐはぐな成果主義となり、結果、悪い方向に行ってしまうと。

 でも、何らかの形でそのゲームを制作した個人なりチームなりには報酬を与えなければいけません。ではどうするか。それは「主たる報酬を金銭以外のもので応える」ということ。
 ひとつは「時間」。これは単純に休暇というものあるでしょう。しかしそうではなく、「次の製品を作るための猶予期間」というものも含まれます。つまり、次の製品までは多少研究期間をあげるから、ゆっくり作っていいよというお墨付きを与えるのですね。それによりゲーム開発者は心の余裕が生まれますし、経営側は次のゲームの売り上げにつなげることも出来ると。

 それともうひとつは、そのゲーム外車内での「権利」を与えるということ。
 ゲーム開発者は、おそらく多くの場合「自分が作りたい」というゲームがあると思います(そうじゃなければこんな効率の悪い業界にいないでしょうし)。だから、もし売れたゲームを作って、その会社の売り上げに貢献すれば、その褒美として、次のゲームを自分の自由に作るための権利を大幅に与えるというもの。それによって、今まではやや売れそうにないと思われ、経営に蹴られていたような意欲作も出せるようになります。たしかに売れた前作より数字は下がることになるかもしれませんが、ことによると未来の大ヒット作を売り出す種になることもあり得ますから、経営側にとっても悪いことではないでしょう。

 そして、これらの一番の利点は、金銭での成果主義のよりもずっと不公平感が生まれにくいということ。そして大作寄りにならないで、多様性が生み出せるということですね(もちろん細かいところでは、そこにあった調整が必要だと思いますが)。

 あ、一応言っておきますが、上の二つがあれば金銭が低くてもいいというわけではないので。あくまで成果は金銭重視でないほうがいいってことで。


 そんなわけで、ゲーム業界でも成果主義を導入するなら、その場にあった形のものでないと、全くの逆効果になるよということで。
 まあ、結局は評価をする人が、ちゃんとした判断を下せる素質があるかどうかが一番重要でしょうけど。つまり「成果を見る人の成果主義」のほうが大切だろ(ちなみにアメリカではそれを判断するのが「株主」だと思う)と、少し皮肉をこめて書きつつ今日はこれまで。
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[ 2008/05/22 17:16 ] コラム | TB(1) | CM(6)
というより、評価を完璧に行うことなんて不可能なのが問題なのだと思います。
リンク先の例にもありましたが、後進の育成に当たる人が給料が低いとかは、良い例ですね。
他人を助けても評価に繋がらないので、アドバイスやアイデアの共有も減ります。
言ってみれば、野球選手の年俸を出塁率だけで決めたりしているようなもの。そんな状態では、バントや進塁打なんて望むべくもなく、勝利はおぼつかないのは明らかなのですが・・・


[ 2008/05/23 01:00 ] [ 編集 ]
>通りすがり さん
こんにちは。
それこそ、評価の絶対的な基準なんてないですよね。
ですので、本当は上司、それも一番上の人が総合的に見て、人間を「評価」する必要があるはずなのですが、それが無理に(業績などにより)数値化されてしまっているのが今でしょうか。まあ、本当に全員が全員人を見る目があるとも限らないし、仕方ない面もあるのですが、まさしく大企業病でしょうね。

というか、これ、ゲーム業界だけではなく、日本全体に問題が広まっているでしょうね(それこそダイヤモンドの特集になるくらいですから)。
[ 2008/05/23 06:08 ] [ 編集 ]
日本のゲーム業界に限らず、海外も含めてソフトウェア開発では
行き過ぎた成果主義というのもは疑問視されているもようです
Joel Spolskyなどの著書などで
言及されていたりします
[ 2008/05/23 07:50 ] [ 編集 ]
人件費にはある程度の硬直性が必要なんですよね。
でないと、働く人間はお金ばっかりに気を取られてしまう。

まあ、問題は報酬の形態よりも、「評価の仕方」だと思います。

売り上げだけでなく、「買った人間がどれだけ満足したか」という満足度や、「どれだけ長い期間市場で売れ続けたか」という市場評価も考えなくてはならない。
ちなみに後者の期間が短い商品は、前評判で爆発的に売れても、内容が良くなかったため伸びなかった、という可能性が高くなります。

売り上げという一元の基準だけでは、皆が同じ行動を取ってしまい、多様性を維持できませんから。
[ 2008/05/23 13:13 ] [ 編集 ]
近年のナムコは出したタイトルごとにweb上でアンケートを受け付けてますが、その設問が必死というか情けないというか、迷い(特に続編という観点での)が感じられて泣けてきます。ところどころ妙に具体的だったり。

回答受付期間が過ぎるとクローズされてしまうので過去のものは参照できないのが困りものです。まぁアンケートの目的はこっちに見せることじゃないんだから当然だけど。誰か過去のアンケートの設問とか全部保存してませんかね。自分がやってないタイトルのアンケートを見るという発想が今までなかったが、今のナムコを見るうえでは非常に興味深いことのような気がします。
[ 2008/05/23 17:58 ] [ 編集 ]
>臣さん
こんにちは。
海外ではそれなりに体制が整っていると思っていても(個人意識とか)、やっぱりそうなのですか。やっぱりものはその状況を見た中庸がよいって感じなのでしょうかね。

>toorisugariさん
こんにちは。
売り上げってのは、その場の評価に至っては指標のひとつでしかないのですよね。あと、売り上げはそれほどでなくても、周りへの影響で役目を果たした人とかもいますし。
どうも売り上げだけの評価ってのは、データ不足で戦略を弾きだすのに(しかもデータが足りないとわかっていない最悪の状況)似ている気がします。

>NO NAME さん
こんにちは。
まあ、アンケートは聞く姿勢があるだけ良いと思います。
つか、続編にかかわって全部で数字を出そうと思わないで、それこそ研究室みたいなチームをもうけてくれないかなあと個人的には思うのですけどね。
[ 2008/06/02 08:25 ] [ 編集 ]
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